VPD、子供の予防接種、新生児の病気

新生児黄疸〜breast failure jaundiceの管理

私は現在、在胎34週以降の新生児を主に診療しています。
正期産の児が多いのですが、分娩数の多い病院であり、
新生児黄疸で光線治療をする児は実にたくさんいます。

 

 

日本人は体質的に黄疸が出やすく、
ほとんどの赤ちゃんは生後5日目前後をピークに、
見た目上黄色くなります。
この見た目上黄色くなること、を黄疸といいます。

 

 

日本人の場合、生後5日目前後は、
黄色くないほうが珍しい、そんな感じです。

 

 

今日はたまたま「小児内科」という雑誌を読んでいて、
「??」と思ったことがあったので書いてみます。

 

 

新生児、つまり赤ちゃんは、生後5日目前後をピークに
見た目上黄色くなっていきます。黄疸が強くなっていくわけです。
黄疸の原因となっているのは、血液の中のビリルビンという物質です。

 

 

この血中ビリルビンの数値は、
母乳栄養児と人工栄養児を比較すると、
前者のほうが有意に高いということが分かっています。

 

 

これは極めて当然だろうな、と思います。
母乳は2、3日目まではほとんど分泌されません。
特にその傾向は初産婦さんに顕著です。
赤ちゃんの体重も、生後2、3日目までは一旦減少し、
その後増加に転じていきます。

 

 

ですから、母乳栄養児は出生後のしばらくは、
脱水状態にあります。ただ、脱水状態にあると言っても、
そこに医療的介入が必要な場合はほとんどありません。

 

 

「赤ちゃんは2、3日分の水筒を持って生まれてくる」
そんな言い方もされますしね。

 

 

ただ、光線治療の適応となることが多い生後3日目、4日目の
新生児の血液検査所見をみると、明らかにナトリウムやカリウムなどの
電解質は上昇しています。

 

 

具体的な数値でいうと、
Na 145〜
Cl 110〜
ぐらいの児がほとんどです。
黄疸で光線治療適応となる児の検査をしてみると、
上記のような数値になっているのです。

 

 

ナトリウム・カリウムの電解質データが上昇していることのみで
介入が必要な脱水状態と判断することはもちろんしませんが、
脱水傾向にあることは間違いのない事実であると思います。

 

 

ですが、今回読んだ小児内科という雑誌には、
生後間もなくの新生児黄疸に対して
水や5%糖水を与えることは決してしてはならない
と書かれていました。

 

 

「決して」

 

 

という文字が確かに入っていましたね。

 

 

新生児黄疸については、脱水よりもカロリー不足が原因している
可能性があるから、という言い分のようですが。

 

 

私の場合は、生後3日目前後の高ビリルビン血症で、
体重増加が著しい症例には、母親の許可が得られた場合には
躊躇なくミルクを足しています。

 

 

体重増加と共にミノルタ(経皮的黄疸計測)の数値が下がっていくのが、
数多くの正期産新生児を見ていて分かっていますし、
なにがなんでも母乳という考えは持っていませんので。

 

 

この小児内科に投稿されていて先生は、
脱水よりもカロリー不足、という論点であれば、
ミルクは足しても良いと考えているのでしょうか?
その辺には言及はしていませんのでわかりません。

 

 

しかし、今の風潮で少し恐いのが、
何が何でも母乳!母子愛着形成のためにも母乳!
免疫の面からも母乳!兎に角母乳!
とほとんど宗教のように盲信している人がいる、
ということです。

 

 

もちろん母乳がベストが栄養方法であることには全く異論がありませんが、
母乳にこだわり過ぎて黄疸が悪化してもいいんでしょうか?
適切な水分・カロリー補給が出来れば1日で済んでいた光線治療が、
2日、3日と続いたら、母子分離の期間が長くなり、
それこそ本末転倒なんじゃないんでしょうか??

 

 

 

 

 

記事作成日:2011年12月7日

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