VPD、子供の予防接種、新生児の病気

1.報告された7例の症例評価について

平成23年3月2日以降、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを含む
ワクチン同時接種後の乳幼児において7例の死亡例が報告されている。

 

 

平成23年3月8日の合同会議以降報告された6・7例目の死亡例を含め、
解剖所見、カルテ等から疾病の経過や疾病の重篤度について詳細な情報を
入手し、改めてこれらについて評価を行った。

 

 

(1) 7例は0歳から2歳代の乳幼児で、基礎疾患を有するものが3例、
基礎疾患が明確でないものが4例であった。

 

 

(2) 接種から死亡までの期間は、翌日死亡が3例、2日後死亡が1例、
3日後死亡が2例、7日後が1例であった。

 

 

(3) 7例の死亡例の経過等の概要及び死因等についての
専門家の評価は別紙のとおりである。

 

 

(4) 現在得られている各症例の経過や所見に基づいて評価したところ、
報告された7例については、現段階の情報において、
いずれもワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと
考えられる。

 

なお、例えば重い先天性の心疾患などの重篤な基礎疾患を有する患者は、その状態によっては、十分な注意が必要である。

2.諸外国の状況について

@ 小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンのいずれにおいても、
米国での使用成績に関する論文や企業が収集した副反応報告からみて、
接種後に一定頻度の死亡例が報告されている。

 

 

A 海外での死亡例の報告頻度は、
小児用肺炎球菌ワクチンでは概ね対10万接種で0.1〜1程度、
ヒブワクチンでは概ね対10万接種で0.02〜1程度である。

 

 

B 諸外国の死亡報告の死因では、
感染症や乳幼児突然死症候群が原因の大半を占めており、
いずれもワクチンとの因果関係は明確ではない。
国内で今回見られている死亡報告の頻度(両ワクチンとも対10万接種
当たり0.1〜0.2程度)及びその内容からみて、
諸外国で報告されている状況と大きな違いは見られず、
国内でのワクチン接種の安全性に特段の問題があるとは考えにくい。

 

 

(参考)国内においては、平成23年以降、接種者数の増加傾向が見られている。

3.同時接種について

@ 厚生労働省が実施した電子メールによる調査
(866医療機関から回答)によると、
平成23年2月の1か月間では、小児用肺炎球菌ワクチン及び
ヒブワクチンの接種のうち、何らかのワクチンとの同時接種が約75%以上を占めている。

 

また、製造販売業者の調査でも、同様の傾向が見られている。

 

A 製造販売業者の国内での市販後調査/臨床試験では、
小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンそれぞれとDPTワクチンの
同時接種、小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの同時接種において、
副反応発現率は単独接種に比べ高い傾向がある。

 

 

一方、鹿児島大学の調査では、小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの
同時接種と単独接種の副反応発現率に有意差はない。

 

 

いずれの調査でも、同時接種により重篤な副反応の発現は増加していない。

 

 

B 現時点までの国内での基礎疾患を有する患者に対する接種実績等
からみても特に安全性上の懸念は報告されていない。

 

 

C 欧米においては、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの
同時接種において、局所副反応や発熱を増加させるが、
重篤な副反応は単独接種と比べて差はみられないとする報告があるなど、
同時接種の安全性については問題はないとされ、推奨されている。

 

 

以上からみて、今回調査した国内外のデータからは、
小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種における
副反応の発現率は、単独接種に比べて高い傾向があるとする報告もあるが、重篤な副反応の増加は認められておらず、
特に安全性上の懸念は認められない。

4.ワクチンの検定結果と品質管理について

国立感染症研究所が実施したワクチンの検定においても、
これらのワクチンの死亡報告のあった症例に投与されたロットについての
試験結果は、全て変動域内にとどまり、逸脱は認められなかった。

 

 

宝塚例と西宮例で小児用肺炎球菌ワクチンのロットが
同一であったことについては、製造工程等の逸脱等について確認した結果、
問題となる点は認められなかった。

 

 

また、ヒブワクチンの異物混入問題については
懸念される安全性の問題は局所刺激程度であり、
回収対象ロットが接種された死亡例では異物混入はなかったと
報告されており、死亡症例との関連性はないと考えられる。

5.今後の対応について

(1) これまでに収集した症例に関する情報、国内外の情報を踏まえると、
現時点では、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種と
死亡例との間に、直接的な明確な死亡との因果関係は
認められないと考えられる。

 

(2) 両ワクチンの同時接種に関する情報等からは、
安全性上の懸念はないと考えられる。
そのうえで、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの使用に際して、
慎重を期して、下記の事項に留意することが適当である。

 

 

@ 小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについては、同時接種により、
短期間に効率的に予防効果を獲得できるメリットが期待されると同時に、
それぞれ単独接種が可能であることを示した上で、
同時接種を行う場合には、その必要性を医師が判断し、
保護者の同意を得て実施する。

 

 

A また、重篤な基礎疾患、例えば重篤な心疾患のある乳幼児については、
髄膜炎等の重症感染症予防のためにワクチン接種が望まれるものであり、
状態を確認して慎重に接種する。その際、単独接種も考慮しつつ、
同時接種が必要な場合には、医師の判断により実施する。

 

 

(3) 小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの接種事業の副反応報告は、
報告者からワクチン接種との「関連なし」「評価不能」の場合でも
有害事象を報告することを明示しているなど従来の副反応報告制度よりも、ワクチンとの因果関係がない場合でも実質的に広く報告を求めるしくみ
となっている。

 

 

(4) したがって、今後もワクチン接種後数日以内の死亡例が報告されることが想定されるが、ワクチン接種後の死亡例が報告された場合には、
引き続き可能なかぎり詳細な情報を収集し、
ワクチン接種との関連性について専門家による評価を速やかに
行っていくことが適当である。

 

 

(5) その場合、諸外国でのワクチン接種後の死亡例の報告状況を勘案し、
例えば6カ月の対10万接種あたり死亡報告数が、
因果関係の有無に関わらず0.5を超えた場合に、
専門家による調査会等の評価を行い、
対応を速やかに検討することが適当である。

 

 

(6) また、死亡や重篤な有害事象とワクチンの関連性の検証のためには、
関係者の協力を得て、今後、積極的疫学調査を行う仕組みを
構築すべきである。

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