VPD、子供の予防接種、新生児の病気

B型肝炎ウイルスキャリアの母から出生した児

※これは私の以前の診療上のメモをそのまま掲載した記事です。

 

 

B型肝炎ウイルスキャリアの母から出生した児の、
他の新生児に対する感染予防という観点から考察する取り扱いについて  

 

2010/07/02

 

 先日、病棟看護師から
「HBV carrierの母から生まれた新生児を、沐浴後、他の新生児と同室で扱うことは問題ないのか?」
という質問を受けた。

 

 理論上、母親がHBe antigen+の感染力の強い母から出生した児であれば、血中のHBVが高値であることから児についてもHBVがある程度の量移行している可能性はあるが、母子感染予防プロトコールで9割以上キャリア化を防止できることを考えると、そのウイルス量は限定的であろうと推察されるし、HBVの感染経路が、血液感染、性行為感染、唾液感染であることを考えると、唾液感染以外の感染ルートについては、通常の医療現場ではまず心配いらない、と考えられる。であるから、HBV carrierの母体から出生した児についても、他の新生児と同室で扱うことは大きな問題はないと考えられる。

 

 一般的な教科書には、この部分に関する言及があるものはほとんど見つけられなかったが、「BANYU」のサイトに、以下のような記載があった。

 

新生児をHbsAg陽性の母親から離すことは推奨できず,
また授乳が出産後のHBV感染のリスクを増大させるとは考えられず,
特にHBIGとHBVワクチンが投与された場合はそうである。
しかしながら,もし母親が乳頭の傷,膿瘍,
または他の乳房の病気をもっていると,
授乳によりHBVが感染する可能性がある。

 

 母親から離すことは推奨できず、というのは、
感染源である母親から隔離する必要はない、と解釈できる。
出生した児については、
あくまで「感染から守るべき存在」という位置づけ。

 

 ロバートソン新生児治療マニュアル改訂2版の212〜213ページには、
周産期母子感染症と母乳哺育への影響、として一覧がまとめられており、
そこでは、B型肝炎についての「母と児の接触」については「制限なし」
としており、さらに他の新生児への接触禁忌、
という記載はなされていない。

 

 

記事作成日:2011年2月15日

 

 

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