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先天性ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー)

患者年齢:0歳0カ月

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:父は36歳健康、母は32歳健康、0妊0産。

 

診断名:先天性ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー)

 

症例要約

 

(主訴)母体羊水過多、妊娠後期胎動低下

 

(現病歴)母体36週に羊水過多のため入院となり羊水穿刺施行。38週時、羊水過多にて再度羊水穿刺。妊娠後期は胎動少なかった。2007/4/25、在胎40週4日、自然分娩にて出生。胎児心拍低下は認めなかったが、生直後から筋緊張弱く啼泣認めず。刺激にても呼吸弱く気管内挿管のうえNICU入院。Apgar score 1/2。

 

(入院時診察所見)出生体重2966g。両側停留精巣以外は外表奇形なし。腱反射消失。舌線維攣縮認めず。

 

(検査結果)静脈血ガス分析:pH 7.191 pCO2 63.0 BE -5.8 Na 137 K 4.7 Cl 101 末梢血・生化学:WBC 18000 Hb 22.5 Plt 14.2万 TP 4.9 Alb 2.9 TB 2.96 DB 0.2 AST 38 ALT 10 LDH 484 ALP 293 CK 63 BUN 5.0 Cre 0.36 IgA 0.9 IgG 649 IgM 6.4 超音波検査:心臓、頭部、腹部明らかな異常所見は認めず。Xp:肺野は透過性良好、異常腸管ガス像認めず。

 

(鑑別診断)プラダー・ウィリ症候群、先天性筋緊張性ジストロフィ、ミトコンドリア脳筋症、糖原病

 

(経過)フロッピー原因検索:G-band:46XY正常男性核型、メチレーションPCR:SNRPNは正常タイプ(プラダー・ウィリ症候群否定)、DMキナーゼ:CGTの反復配列の増幅なし(先天性筋緊張性ジストロフィ否定)、筋原性酵素上昇なし、抗Ach-R<0.2nmol/L、乳酸、ピルビン酸値異常なし、髄液検査異常なし、脳波異常なし、眼底異常なし、頭部MRI異常なし。伝導検査・針筋電図:筋原性疾患の所見を示した。筋生検:ヘマトキシリン-エオジン染色、ゴモリ-トリクローム変法染色、NADH染色を行い、ミオチュブラーミオパチーに合致する所見が得られた。臨床経過:両親へは筋緊張低下をきたす原因検索を進めることをお話した。羊水過多は筋緊張低下による嚥下障害に起因するものと思われた。血小板減少が徐々に進み日齢3にDICとなりFOY等で加療し軽快。日齢1から経管栄養開始。日齢14には抜管しn-DPAP管理となる。筋緊張低下は改善なし。中枢性障害、重症筋無力症、先天性筋ジストロフィ、ミトコンドリア病などの鑑別疾患は否定され、2007/8/24(日齢121)筋生検施行し、先天性ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー)の診断が確定した。両親へは2007/9/12に筋生検結果を説明。ミオチュブラーミオパチーは根治療法がなく筋力回復は見込めないこと、今後は呼吸管理とその合併症である呼吸器感染症への対処が予後に関わってくることを説明した。気管切開の必要性について説いたが、理解を得るのに時間を要した。唾液の嚥下が困難で、n-DPAPでもSpO2 90前後と低く、次第に呼吸障害進行したため、2008/2/4(日齢285)気管切開術施行。その後もCPAP管理を継続している。

 

(患児・家族への指導、考察)根治療法のない疾患であり、今後も人工呼吸管理からの離脱は困難と考えられるため、在宅での管理、あるいは身体障害者施設への転院を検討していく方向で両親と十分にコミュニケーションを図っていく。

 

 

※この症例の思い出

 

帝王切開に立ち合いましたが、
もう明らかになんか変だぞ、と感じましたね。
もちろん先天性ミオパチーは初めて診る疾患でしたし、
この症例を経験してからは、「羊水過多」の情報には
敏感にならざるを得なくなりました。

 

もちろん、頻度的には非常にまれな疾患であることは
わかっていますが、毎回思い出してしまう症例です。

 

 

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