VPD、子供の予防接種、新生児の病気

Down症候群、Fallot四徴症

患者年齢:0歳0カ月

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:母は42歳、2妊2産。

 

診断名:Down症候群、Fallot四徴症、多血症

 

症例要約
(主訴)顔貌異常、チアノーゼ

 

(現病歴) 母は42歳、2妊2産。今回の妊娠経過中は特記事項なし。
児は2006年9月22日、在胎38週3日、自然分娩で出生(当院産科)。
出生体重2744g。Apgar score 8/8。啼泣は活発であったものの、
出生直後より四肢のチアノーゼ、多呼吸、SpO2値が低いため入院となった。

 

(入院時診察所見) 鼻根平坦、外眼角斜上、内眼角贅皮など一見して
Down症候群を思わせる顔貌であった。多呼吸を認め肺野は雑音なし。
収縮期心雑音(Levin grade2)を認めた。腹部は平坦・軟、腫瘤は触知せず。四肢色、口唇色は不良。筋緊張の低下は認めなかった。

 

(検査結果)静脈血ガス分析(FiO2 0.40):pH 7.320、pCO2 47.3、pO2 35.6、BE -2.8、Na 137.7、K 4.23、Cl 99.2 BS 50
末梢血・生化学:WBC 14400、RBC 609万、Hb 22.8、Plt 18.1万、TP 5.5、AST 38、ALT 11、ALP 499、LDH 584、BUN 5.9、Cre 0.7、CRP 0.00、
超音波検査:心室中隔欠損(right to left shunt)、心房中隔欠損を認めた。大動脈弓の拡張が疑われた。
Xp:肺野透過性良好、心拡大なし、異常腸管ガス像なし。

 

(診断) Down症候群

 

(経過) 顔貌異常、心雑音よりDown症候群、心奇形の合併を疑った。
心エコーにて心室中隔欠損を認め、また右→左シャントであったため
肺高血圧症を想定した。母へ、心奇形があり、呼吸管理・循環管理を含めた全身管理を要する状態であること、新生児専門施設での治療が望ましいことを説明し、●●病院への搬送について了承を得た。同日、●●病院へ搬送。●●中央病院での心エコー検査では大動脈騎乗、肺動脈狭窄を認め
Fallot四徴症が疑われた。また同院での入院時血液検査にて染色体検査を
行い、後日21trisomyであることが判明した。転院後はroom air下でも
全身状態安定しており、肺高血圧症状も自然軽快し安静時はSpO2 95%前後と安定。9/23(日齢1)より経口哺乳を開始したが哺乳力良好。全身状態良好であるため9/27(日齢5)当院へ再転院。同日、当院での心臓専門医による診察でFallot四徴症の診断が確定。約2週間入院のうえ経過観察を行なうこととなった。9/27再入院時の現症:体重は2654g。多呼吸なし。汎収縮期雑音(Levine grade4)を聴取。経口哺乳は良好。その後も全身状態は安定
しており経口哺乳良好、体重増加も順調であり10/12(日齢20)退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)
Down症候群についての一般的な予後(中等度の精神発達遅滞、筋緊張低下による運動発達遅滞をきたす可能性があること、
生後1年程度は感染症に弱く注意が必要であること、
心疾患などの合併症により生命予後が変わること)について説明し
理解を得た。Fallot四徴症については、心臓外来にて定期的にフォローし、
いずれ手術を行なう方針で了解を得た。

 

 

 

※この症例の思い出

 

一般的にDown症候群の約半数に心奇形を合併するということが
言われていますが、この症例も心奇形を有した症例でした。
Fallot四徴症もDown症候群に見られやすい心奇形です。
最近は出産数の多い病院で勤務しており、
中には外見だけではDown症候群とわからないような症例も
いますが、この症例は外見から明らかにDown症候群であろうことは
わかりました。

 

 

記事作成日:2011年2月20日

 

 

Down症候群、Fallot四徴症関連エントリー

症例要約チェックリスト
私が小児科専門医試験を受験したのは2008年でしたが、症例要約30例を提出する必要がありました。そのチェックリストです。
先天性表皮水疱症(劣性栄養障害型)
先天性表皮水疱症 小児科専門医試験 症例要約 症例番号@ 
先天性ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー)
先天性ミオパチー(ミオチュブラーミオパチー) 小児科専門医試験 症例要約 症例番号A
急性虫垂炎
急性虫垂炎 小児科専門医試験 症例要約 症例番号C
腸重積
腸重積 小児科専門医試験症例要約 症例番号D
胆道閉鎖
胆道閉鎖 小児科専門医試験症例要約 症例番号E
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症(バセドウ病) 小児科専門医試験症例要約 症例番号F
低カルシウム血症
低カルシウム血症 小児科専門医試験 症例要約G
新生児TSS様発疹症(NTED)
新生児TSS様発疹症(NTED) 小児科専門医試験 症例要約H
川崎病
川崎病 小児科専門医試験 症例要約I
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS) 小児科専門医試験 症例要約J
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症 小児科専門医試験 症例要約K
胎便塞栓症候群
胎便塞栓症候群 小児科専門医試験 症例要約L
脳室周囲白室軟化症(PVL)
脳室周囲白室軟化症(PVL) 小児科専門医試験 症例要約M
重症新生児仮死
重症新生児仮死 小児科専門医試験 症例要約N
超低出生体重児
超低出生体重児 小児科専門医試験 症例要約O
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気管支喘息 小児科専門医試験症例要約 症例番号P
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肺炎 小児科専門医試験症例要約 症例番号Q
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急性喉頭気管気管支炎 小児科専門医試験症例要約 症例番号R
未熟児動脈管開存症
未熟児動脈管開存症 小児科専門医試験症例要約 症例番号S
心室中隔欠損(VSD)
心室中隔欠損(VSD) 小児科専門医試験症例要約 症例番号21
右室性単心室
右室性単心室 小児科専門医試験症例要約 症例番号22
新生児メレナ
新生児メレナ 小児科専門医試験症例要約 症例番号23
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Kasabach-Merritt症候群 小児科専門医試験症例要約 症例番号24
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両側腎低形成 小児科専門医試験症例要約 症例番号26
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