VPD、子供の予防接種、新生児の病気

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

患者年齢:13歳1カ月、女性

 

家族歴、妊娠・分娩歴には特記事項なし。母方の祖母の姉、母の姉が甲状腺疾患あり。既往歴には特記事項認めず。

 

診断名:甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、WPW症候群

 

症例要約
(主訴)易疲労感、落ち着きのなさ、前頚部の腫れ

 

(現病歴)2006年6月下旬頃より疲れやすくなり、前頚部の腫れを自覚していた。食事量は増えたが、体重増加はなし。暑がるようになり、落ち着きもなくなった。学業成績は低下。中学校での心電図検査にてWPW症候群を指摘され、2006年7月31日、前医受診。甲状腺機能亢進症を疑われ、8/1、当科紹介となった。

 

(受診時診察所見)身長155.5cm(+0.4SD)、体重38kg(-1.1SD)、体温36.1℃、血圧120/68。左右とも長径約5cmほどの甲状腺腫大(表面平滑、軟、可動性良好)を認めた。眼球は軽度突出。心雑音なし。

 

(検査結果) (血液検査:8/1)WBC 5880、Hb 12.0、Plt 28.1万、TP 6.2、Alb 3.7、AST 25、ALT 31、ALP 515、LDH 163、CPK 39、T-Bil 0.38、D-Bil 0.22、LAP 64、γ-GTP 17、Ch-E 388、BUN 16.6、Cre 0.3、T-Cho 100、TG 95、Glu 130、UA 5.3、Na 142、K 4.6、Cl 108、Ca 4.8、P 5.3、CRP 0.00。(甲状腺機能検査:8/1):TSH 0.01uIU/ml、fT3 25.51pg/ml、fT4 6.04ng/dl、抗核抗体80倍、TPOAb 5.0U/ml、サイログロブリン 6.2ng/ml、TBG 14.7ug/ml、TSHレセプター抗体陽性、結合阻害率 43.2%、抗サイログロブリン抗体 48.0U/ml。(甲状腺超音波検査:8/1)両葉のびまん性腫大を認めた。(I123-uptake:8/8)摂取率は64.7%と亢進、びまん的な摂取を認めた。

 

(鑑別診断)Plummer病、無痛性甲状腺炎、TSH受容体遺伝子異常、甲状腺ホルモン下垂体不応症

 

(経過)8/1初診時に血液検査、超音波検査を施行。臨床症状、検査結果からバセドウ病と診断。8/8、I123-uptake試行し、甲状腺機能亢進確認。治療方法について内科的治療、外科的治療、放射線治療があることを説明し、患者本人及び母親と相談の上、MMI 20mg/day内服治療を選択した。8/15、TSH 0.02、fT3 6.02、fT4 2.71と改善傾向。以後2週間毎の外来フォローとし、11/6、TSH 1.51、fT3 3.31、fT4 0.65とほぼ正常範囲となりMMI 15mg/dayへ減量。この頃より学業成績も向上を認めた。その後も2ヶ月に1度、外来での血液検査フォローを行ったが、甲状腺機能も正常範囲内で推移、服薬による副作用もみられず本人の症状としても安定していた。
(患児・家族への指導、考察)治療開始にあたって、治療期間は少なくとも2〜3年と長期にわたること、服薬継続の重要性を指導。一方で、服薬による副作用:無顆粒球症、肝機能障害、発疹などにも注意が必要であり、定期的に検査を行う旨を説明し了解を得た。治療開始後は順調に臨床症状の改善、検査所見の改善が得られたが今後とも定期的な外来フォローが必要であることを再度、患児本人及び母親に説明した。

 

 

※この症例の思い出

 

 

甲状腺機能亢進症の患者はこの症例が初めてでした。
典型的な症状を呈していましたので、
診断は容易でした。

 

 

甲状腺関係は、自己抗体の種類や呼び方がややこしく、
いまだに事あるごとに本を出して調べたりしていますね。

 

 

甲状腺に限らず、内分泌疾患は難しいです。

 

 

記事作成日:2011年2月23日

 

 

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