VPD、子供の予防接種、新生児の病気

川崎病

患者年齢:1歳6カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:特記事項なし。

 

 

症例要約

 

(主訴)発熱、発疹、眼球結膜充血、咽頭発赤、苺舌

 

(現病歴)2006年5月16日より発熱、発疹が出現。5月17日、発熱が持続し、発疹が増強したため当科外来受診。全身性の不定形紅斑、苺舌、両側結膜充血、咽頭のびまん性発赤、BCG接種部位の発赤を認めたため、川崎病を疑い入院とした。

 

(入院時診察所見) 肺野は清、心音整・心雑音なし。腹部は平坦・軟で、腫瘤を触知せず。頚部リンパ節腫脹は認めず。全身に不定形紅斑を認め、四肢は軽度浮腫を認めた。苺舌、咽頭のびまん性発赤を認めた。両側結膜充血を認めた。BCG接種部位の発赤あり。

 

(検査結果) 末梢血・生化学:WBC 8490(N 48.9%) RBC 440万 Hb 12.6 Plt 30.3万 TP 5.8 Alb 3.8 GOT51 GPT 127 ALP 971 LDH 428 BUN 9.1 Cre 0.2 Na 133 K 4.8 Cl 98 CRP 1.73 ASK 640倍 咽頭アデノウイルス抗原:陰性 サイトメガロウイルス:IgG(-)IgM(-) EBV-VCA IgG 10倍未満 EBV-VCA IgM 10倍未満 超音波検査:冠動脈の拡張は認めなかった。胸部X線写真:肺野は清明、心拡大は認めず。心電図検査:異常所見は認めず。

 

(鑑別診断)溶連菌感染症、アデノウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、EBウイルス感染症、頚部化膿性リンパ節炎

 

(経過)入院時点では川崎病診断基準の4/6であったものの、母へは川崎病も疑われる状況であることを説明した。入院後、細菌感染症の可能性を考え、まずはパンスポリン静注で経過をみることとした。しかし治療開始後も5月18日、19日と高熱持続し、5月20日発熱5日目となり川崎病主要症状5/6(この時点ではリンパ節腫脹のみ認めず)で確定した。CRP 2.17。川崎病が全身の中小血管の血管炎であり、最も心配されるのは冠動脈瘤形成することであることを説明し、同日昼からγglobulin 2g/kg単回投与、アスピリン内服を開始した。同日夜間より解熱傾向となり、5月21日には完全に解熱し、以降発熱は認めなかった。不定形発疹は5月16日〜21日、結膜充血は5月17日〜21日、苺舌は5月17日〜26日、四肢硬性浮腫は5月17日〜27日、リンパ節腫脹は5月21日〜23日まで認めた。5月25日より四肢の落屑を認めるようになった。5月19日、23日に施行した心エコーでは冠動脈の拡張は認めなかった。5月29日、CRP 0.06と正常化し、また全身状態良好にて退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)川崎病は全身の中小動脈の血管炎であるが、合併症として最も重要なのは冠動脈病変である。γグロブリン及びアスピリン内服治療が奏功し、急性期の経過中には冠動脈拡張所見は認められなかったが、今後も定期的に心臓外来にてフォローしていく必要があることを説明し理解を得た。

 

 

※この症例の思い出

 

 

今は新生児診療が主になっているので診る機会がありませんが、
小児科をやっているといつかは遭遇することになる疾患ですよね。

 

 

様々な臨床症状から診断することになる疾患ですので、
ある程度疑いの目を持って所見を探す必要があります。

 

 

この症例は幸い冠動脈の所見は問題ありませんでしたが、
冠動脈瘤を形成した症例も経験したことがあります。

 

 

記事作成日:2011年2月23日

 

 

 

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