VPD、子供の予防接種、新生児の病気

RSウイルス感染症

患者年齢:1歳7カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:家族歴、妊娠・分娩歴には特記事項なし。4度の熱性痙攣の既往があり、外来にてフォロー中(脳波検査予定されている)。

 

 

診断名:RSウイルス感染症、肺炎、急性細気管支炎

 

 

症例要約

 

(主訴)発熱、咳嗽、喘鳴

 

(現病歴) 2006年12月15日より発熱あり。当科外来受診し、ジスロマック等処方され帰宅(喘鳴、ラ音は聴取せず)。16日、17日も発熱は持続し、さらに咳嗽が強くなってきたため、12月18日再受診。吸気性ラ音に加え、呼気性喘鳴も著明であり、肺炎、急性細気管支炎の診断で入院となった。

 

(入院時診察所見)肺野は吸気性の湿性ラ音と呼気性喘鳴を聴取。心音は整、心雑音なし。腹部は平坦・軟で、腫瘤を触知せず。Room airでSpO2 95%。

 

(検査結果) WBC 7670、Hb 11.4、Plt 27.9万、CRP 1.71、マイコプラズマ抗体価 40倍、生化学データには異常所見なし。鼻汁RSウイルス抗原:陽性。Xp:両肺野は透過性亢進しており過膨張な印象。右下肺野に浸潤影を認め、silhouette sign(+)。

 

(鑑別診断)インフルエンザウイルス等のウイルス感染症、細菌性肺炎

 

(経過)RSウイルス感染症は特に乳幼児が罹患すると重篤な細気管支炎、肺炎を発症することがあること、患児も肺炎・細気管支炎を発症しており治療を要することを説明し理解を得た。入院後酸素テントに収容し、酸素投与、アスプール少量持続吸入を開始。細菌感染合併のリスクも考慮しパンスポリン静注も併用した。12月18日から20日までは夜間の発熱(39度台)みられたが、12月21日以降は解熱し、以後発熱はみられなかった。喘鳴は解熱後もしばらく続いたが12月22日より徐々に軽減していき、12月26日ほぼ喘鳴消失したため、酸素投与中止、アスプール吸入中止。12月27日、肺雑音なし、喘鳴なし、全身状態も良好であり退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)RSウイルスによる細気管支炎罹患後は、長期に渡って肺機能異常を呈することがあること、また喘鳴を繰り返すことがあることを説明し、疑わしい症状がみられた場合は速やかに外来受診するように指導した。

 

 

※この症例の思い出

 

 

RSウイルス感染症は乳幼児にとってはインフルエンザウイルスよりも
怖い病気と言えるでしょう。
この症例のように、重篤な細気管支炎や肺炎を呈することがあります。
中には気管内挿管し、人工呼吸管理を要する症例もあるほどです。

 

 

RSウイルス感染症に対しては、シナジス(パリビズマブ)という、
RSウイルスによる重篤な下気道疾患の発症を抑制する
注射(モノクローナル抗体)があります。

 

 

早産児など投与の適応になっている児については、
漏らさずに投与したいですね。

 

 

記事作成日:2011年2月23日

 

 

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