VPD、子供の予防接種、新生児の病気

未熟児動脈管開存症

患者年齢:0歳0カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:母は0妊0産。

 

 

診断名:未熟児動脈管開存症、超低出生体重児、新生児呼吸窮迫症候群(RDS)

 

 

症例要約

 

(主訴)超低出生体重児

 

(現病歴)母は0妊0産。2007/6/24(妊娠26w)切迫早産にて当院産科入院。6/27(26w5d)17時より陣痛発来し自然分娩にて出生。第一啼泣あるも続かず挿管のうえNICU入院となった。Apgar score 5/6。

 

(入院時診察所見) HR 170台、酸素投与下でSpO2 100%、末梢冷感あり。肺野はrough、心雑音なし、腹部は平坦・軟、腫瘤触知せず。外表奇形なし。

 

(検査結果)静脈血ガス分析:pH 7.239 pCO2 48.6 pO2 40.9 BE -7.3 Na 132.4 K 4.74 Cl 102 Ca 1.33 BS 85 末梢血・生化学:WBC 9100 Hb 12.8 Plt 15.4万 TP 3.3 Alb 2.3 T-Bil 2.36 D-Bil 0.11 AST 33 ALT 1 LDH 397 CK 145 BUN 5.8 Cre 0.48 Ca 8.8 IP 5.5 CRP 0.01 IgA 0.9 IgG 240.0 IgM 5.6 Blood type B(+) 超音波検査:心臓は奇形なし、左室収縮良好、動脈管開存(L→R)、頭部・腹部は異常所見なし。Xp:肺野はBomselV度、異常腸管ガス像なし。マイクロバブルテスト:zero

 

(診断)未熟児動脈管開存症、超低出生体重児、新生児呼吸窮迫症候群

 

(経過)呼吸管理を含む全身管理を行うこと、長期入院加療を要することを説明。また超低出生体重児であるため脳室内出血、動脈管開存症、壊死性腸炎などの疾患についてのリスクについても説明した。入院後は保育器収容しSIMV管理とした。RDSに対してサーファクテン1vial気管内投与。感染対策としてPIPC+FMOX開始。循環不全に対して生食負荷、アルブミン、ステロイド、カテコラミン投与にて対処。日齢1、日齢2にそれぞれMAP15ml/kg施行。日齢3、感染徴候なく抗生剤中止。脳室内出血なし。日齢4、動脈管閉鎖傾向なくインダシン0.1mg/kg投与。日齢5に閉鎖するも、日齢8に再開通。日齢9、動脈管閉鎖傾向なくインダシン0.2mg/kg投与。日齢10には閉鎖するも日齢13、再開通。日齢14、動脈管flow増加。インダシンへの反応は良好も、容易に再開通してしまうため、両親とも相談の上、動脈管クリッピング術を施行することに。日齢15、動脈管クリッピング術施行。手術は問題なく終了。術後経過も良好で日齢16には胸腔ドレーン抜去し、経管栄養再開。以後順調に哺乳量を増やすことが出来た。日齢26抜管、n-CPAP管理とした。その後も呼吸状態は安定。日齢58(修正35週0日)コット移床。日齢○頭部MRI試行し、異常所見なし。同日A-ABR施行し両側pass。日齢86〜87、母児入院。日齢87(修正39週1日、体重2122g)全身状態良好にて退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)本症例ではインダシンへの反応は良好であったものの、容易に再開通してしまうこと、インダシンの反復投与に伴う副作用のリスクも考え外科的治療を選択した。術後の経過も極めて良好であり、結果的に児のその後の経過に好影響をもたらしたと考えられた。退院後については外来で発達フォローを行なうこと、シナジス定期接種、予防接種推進を含め一般的な感染予防対策について指導した。

 

 

※この症例の思い出

 

 

インダシンを使うと動脈管は一旦は閉じるが容易に再開通してしまう、
という困った症例でした。
幸い、手術および薬剤の反復投与による副作用もなく、
経過は良好でした。

 

 

動脈管のクリッピング手術が行える施設でしたからよかったですが、
これが出来ないとなると他院搬送となり患者に負担をかけることに
なり、そうなれば予後が変わっていた可能性もあります。

 

 

環境が整った医療施設で治療することは重要なことです。

 

 

記事作成日:2011年2月24日

 

 

 

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