VPD、子供の予防接種、新生児の病気

右室性単心室

患者年齢:0歳0カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:母は0妊0産。妊娠分娩経過には特記事項なし。

 

 

診断名:右室性単心室、肺動脈狭窄

 

 

症例要約

 

(主訴)チアノーゼ、心雑音

 

(現病歴) 妊娠分娩歴に異常なく市内開業産科にて在胎41週0日、体重3242g にて出生。Apgar score 8/8。出生直後よりチアノーゼ及び心雑音認め、精査・加療目的に当院NICU搬送となった。

 

(入院時診察所見) 大泉門平坦、呼吸音清明、収縮期心雑音3〜4度(2〜3LSB)、腹部平坦で腫瘤触知せず。筋緊張良好、外表奇形は認められなかった。四肢末端にcyanosis認められた。

 

(検査結果)静脈血ガス分析:pH 7.296、PCO2 47.9、PO2 26.8、BE -4.0末梢血・生化学:WBC 20,900、RBC 537万、Hb 18.1、Hct 61.2、Plt 21.2万、TP 6.1、Alb 4.0、T-Bil 2.72、D-Bil 0.14、AST 36、ALT 12、LDH 447、CK 689、Cre 0.74、BUN 7.6、Na 140、K 4.6、Cl 106、Ca 10.3、P 5.7、BS 71、CRP 0.01超音波検査:頭部・腹部に異常なし。心エコーにて単心室、及び肺動脈狭窄あり。 Xp:肺野の含気は良好で肺血管陰影の増強はなし。CTR 68%。異常腸管ガス像認めず。

 

(鑑別診断)左室性単心室、心室中隔欠損症

 

(経過) 父ヘは、先天性の心奇形であり、根治には外科手術が要することを説明し、手術可能施設への転院を念頭に内科的治療を行なうことを説明した。入院後保育器収容し呼吸状態安定していたためroom air下での管理とした。全身状態安定しており出生10時間後よりパウダーミルク経口栄養開始。当初経口哺乳良好であったが活気に乏しく、10/7(日齢4)より多呼吸、尿量減少、胸部写真にてCTRの拡大等の心不全徴候出現。そのため経口栄養から鼻道栄養に切り替え、ラシックス静注開始。さらに両親に病状説明した上で早期に外科手術可能な施設へ転院させる方針となり、10/9に●●病院へ紹介・転院予定となった。しかし、10/8(日齢5)夜間より心不全症状悪化(利尿剤増量するも尿量減少改善なし、呼吸回数100/min、肝腫大)したため、10/9の東京への搬送は危険と判断し転院は中止となった。10/10(日齢7)、心不全症状はさらに悪化傾向をたどり(胸部写真上CTR 78%、肺うっ血著明、肝脾腫増強)、16時過ぎよりSpO2次第に低下。17時気管内挿管施行し、人工呼吸管理を開始。さらに膀胱内カテーテル留置。両親に病状説明した際、両親側は積極的な治療は望まないとの判断。その後、人工呼吸器管理、利尿剤による治療は適宜行うも、10/14(日齢11)になって尿量減少し、さらに19時40分頃よりHR自然下降、自発呼吸低下を認めたため、両親に電話連絡。20時30分、母に抱かれ永眠された。

 

(患児・家族への指導、考察)両親へは入院後心臓専門医による診断がついた時点で既に外科手術を要する疾患であることは説明しており予後が楽観出来ない事についての理解は得ていたが、急激な症状悪化をきたしたことで外科手術可能施設への搬送のタイミングを逸し、不幸な転帰をたどる結果となった。

 

 

※この症例の思い出

 

 

この症例は私が1年目の研修医時代に診た症例でした。
最初は比較的活気もあったのに、日に日に状態が悪くなり、
最後は・・・非常に残念な結果となりました。

 

 

高度な心臓外科手術を要する疾患であったため、
私が勤務していた病院でその手術を出来る医者がいませんでした。

 

 

胎内で既に診断が付いていれば、あらかじめ手術可能な
病院で生まれ、適切な治療を受けられたかもしれません。
出生前診断の重要性を学んだ症例でした。

 

 

記事作成日:2011年2月24日

 

 

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