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両側腎低形成

患者年齢:0歳0カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:両親は共に米国人で健康。母は2妊1産。

 

 

診断名:両側腎低形成

 

 

症例要約

 

(主訴)乏尿、呼吸障害

 

(現病歴)2007年9月時点では羊水量正常。12/27、定期妊婦検診受診の際に胎児の胎動不良、羊水過少あり米軍病院入院。同日19時、誘発なしで自然破水あり在胎35週1日、自然分娩にて児を出生。児は出生体重2710g、Apgar score 7/8。出生後徐々に呻吟・陥没呼吸が目立つようになり酸素投与試行。胸部写真上、両側の気胸・縦隔気腫が疑われ、前医へ転院。前医では気管内挿管しHFO管理。超音波検査にて両側の腎低形成を認めポッター症候群が疑われた。乏尿、Cre上昇傾向を認めたため腹膜透析の必要性も考慮されたため、12/29当院へ加療目的に転院となった。

 

(入院時診察所見)肺野は清、心雑音なし、腹部平坦・軟で腫瘤触知せず。外表奇形なし。明らかな顔貌異常なし。
(検査結果)末梢血・生化学:TP 4.7 Alb 3.2 T-Bil 9.59 D-Bil 0.21 AST 39 ALT 9 LDH 576 CK 531 Cre 2.70 BUN 21.4 Ca 8.3 IP 7.7 CRP 0.03 IgA 0.9 IgG 604.7 IgM 14.3 WBC 20300 Hb 19.8 Plt 27.7万 Blood type:O+超音波検査:両側腎低形成(長軸で2.5cm程度)、および両側尿管の拡張・蛇行を認めた。膀胱には尿貯留あり。 Xp:両肺野透過性良好、気胸なし。

 

(鑑別診断)ポッター症候群、膀胱尿管逆流、先天性水尿管症、後部尿道弁

 

(経過)両親へは先天的に腎臓が両側低形成であり、腎機能悪化が進行する場合、腹膜透析やさらには腎移植の必要性もありうることをお話した。膀胱カテーテルを留置しようと考えたが、カテーテル挿入できず、後部尿道弁の可能性も考慮。自排尿は認められ、Lasix使用しながら経過観察。入院後の尿量自体は4〜5ml/kg/h維持。呼吸状態は安定しており12/30にSIMV管理とし、2008/1/3には抜管。12/30(日齢3)高カリウム血症認めGI療法施行。入院時から低Na血症認め、高濃度のNa輸液を要した。また、低血糖もありGIR 12〜13mg/kg/minを要した。抜管後に代謝性アシドーシスの進行が顕著となったため、1/3〜1/5メイロンによる補正を行った。経管栄養は1/1から5ml×8で開始するも当初は消化悪く、一旦絶乳となり1/2に再開。以後は消化良好で、1/5退院時時点で20ml×8まで増量。Creは1/3に4.8mg/dlまで上昇するもこれがピークとなり1/4、4.2mg/dl、1/3、4.1mg/dlと横ばいで推移。今後は腹膜透析や腎移植の必要性も考慮される状態であり、さらなる専門施設での加療が必要と判断。米国での治療が望ましいという結論に達し、1/5、加療目的に米国●●Hpに転院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)下部尿管狭窄や膀胱尿管逆流により胎内で腎萎縮が進行した可能性がある。すでに腎機能は低下しており腎婁造設は根治療法とはなりえず、当面は腹膜透析で時間を稼ぎ長期的には腎移植の必要性が考慮される。これらを両親に説明し今後の治療を米国で行なうという結論に達した。

 

 

※この症例の思い出

 

 

勤務していた病院が総合周産期医療センターであったので、
こうした珍しい症例を短期間で沢山診る機会に恵まれました。

 

 

この症例のように米軍病院からの搬送も年間に
何例かあり、その際、英会話能力が必要であることを
痛感させられました。

 

 

しかし、、、未だに簡単な英会話しかできません。
医療英語は沢山覚えましたが、やはり会話能力が
ないと実践的ではないですよね。

 

 

記事作成日:2011年2月26日

 

 

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