VPD、子供の予防接種、新生児の病気

無菌性髄膜炎

患者年齢:7歳0カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:家族歴、妊娠分娩歴には特記事項なし。2006年4月10日より、中耳炎のため近医耳鼻科にて抗生剤を内服していた。

 

 

診断名:無菌性髄膜炎、流行性耳下腺炎、ムンプスウイルス感染症

 

 

症例要約

 

(主訴)発熱、嘔気、頭痛

 

(現病歴) 2006年4月13日より、左耳下腺部分の腫脹と疼痛を認め、4月14日当科を受診。臨床症状と周囲の流行状況より流行性耳下腺炎と診断し、自宅安静を指示した。4月17日より左右の顎下腺腫脹、さらに4月19日より嘔気、頭痛が出現。4月20日より発熱を認め、さらに嘔気が続き、元気もないということで当科を再受診。髄膜炎を疑い入院とした。

 

(入院時診察所見) 肺野は清、心雑音なし。腹部は平坦・軟。左耳下腺腫脹及び両顎下腺の腫脹を認めた。項部硬直は認めなかったが、Kernig sign陽性。

 

(検査結果) WBC 5330 (Neutrophil 72.4%)、Hb 11.8、Plt 49.7万、CRP 0.76、s-AMY 501、その他の生化学データには異常所見認めず。血清ムンプスIgM(+)、血清ムンプスIgG(±)。(髄液検査)外観:無色透明。細胞数:914/3と増加を認めた。糖:40mg/dl。蛋白:39mg/dl。クロール:120mEq/l。髄液培養:no growth。

 

(鑑別診断)細菌性髄膜炎、脳炎

 

(経過)周囲の流行状況からムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎および同ウイルスによる無菌性髄膜炎と考えられること、ムンプスウイルス感染の場合、髄膜炎の合併頻度は高いが、治療は安静が基本であることを説明し理解を得た。入院当日は嘔気強く、絶食として持続点滴を開始。4/21、発熱続くも嘔気、頭痛は軽減し、昼から食事を開始。左耳下腺腫脹は軽減するも、右耳下腺腫脹が新たに出現。4/22、解熱傾向となり、活気も徐々に出てきた。4/25、髄液検査にて細胞数139/3と減少を認めた。全身状態は極めて良好。患児本人及び家族の希望の強い希望により、同日夕退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)耳下腺腫脹があるうちは、他者への感染の可能性があるため外出は禁止しなければならないこと、自宅に帰ってからも安静を保つことを指導し、4/28外来受診とした。

 

 

※この症例の思い出

 

 

ムンプスウイルスによる無菌性髄膜炎は、
教科書に書いてある頻度よりも多いような
印象があります。

 

 

流行性耳下腺炎の10%程度に髄膜炎の合併があると
書かれていますが、よくよく症状を聞いてみると、
頭痛や吐き気を呈した症例の頻度は3割近くに
上るという印象があります。

 

 

もちろん、髄膜炎と診断するためには髄液検査を
しなければならないため、確定診断をすることは
不可能ですが、ムンプスでの髄膜炎は結構多いんだな、
ということを一般小児科診療で学びました。

 

 

記事作成日:2011年2月26日

 

 

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