VPD、子供の予防接種、新生児の病気

顔面神経麻痺

患者年齢:12歳6カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:家族歴、妊娠・分娩歴には特記事項なし。2006年6月にソフトボールが左眼に当たったという既往がある。

 

 

診断名:左顔面神経麻痺(Bell麻痺)、肝機能障害

 

 

症例要

 

(主訴)左舌の味覚異常、左顔面のひきつり

 

(現病歴) 2007年1月20日頃より、左舌の甘みが分からないという自覚あり。左顔面のひきつりもあり。1月23日頃からは学校でも顔の表情の異変に気付かれていた。1月30日、当科外来受診。症状より顔面神経麻痺が疑われたため、1月31日当科入院となった。

 

(入院時診察所見) 肺野清、心雑音なし。腹部は平坦・軟で腫瘤は触知せず。皮膚には発疹なし(耳介水疱、帯状疱疹は認めず)。

 

(検査結果)末梢血・生化学:WBC 7670 RBC 438万 Hb 13.7 Hct 40.7% Plt 34.2万 TP 6.9 Alb 4.6 GOT20 GPT 22 ALP 388 LDH 203 CPK 62 T-Bil 0.53 γ-GTP 20 BUN 7.3 Cre 0.5 T-Cho 161 TG 118 UA 4.4 Na 137 K 4.0 Cl 103 Ca 4.9mEq/l P 3.8mg/dl CRP 0.06 IgG 1469 IgA 129 IgM 98単純ヘルペス:IgG(+)IgM(-) 髄液検査:細胞数 5/3 培養陰性 聴力検査:正常。味覚検査:左側不良。アブミ骨筋反射:両側良好。麻痺スコア:18/40点。頭部MRI&MRA:異常所見認めず。

 

(鑑別診断)感染性顔面神経麻痺(Ramsay Hunt症候群他)、外傷性顔面神経麻痺、腫瘍性顔面神経麻痺

 

(経過)顔面神経麻痺はウイルス感染によるものや外傷性にきたす場合もあるが、最も多いのはBell麻痺と呼ばれる原因不明の顔面神経麻痺であり、通常は予後良好な疾患であることを説明した。一方腫瘍性の疾患により顔面神経麻痺をきたすこともあるため、画像診断も行なうことを説明した。治療:低分子デキストリン500ml+トリノシン40mg:1日1回 8日間投与(1/30〜2/7)、デカドロン:4-4-3-3-2-2-1-1mgの8日間投与(1/30〜2/7)、メチコバール(500)3cap+ユベラN(100)2cap経口内服 臨床経過:1/30の入院時麻痺スコアは19/40。治療開始後、2/4からは味覚脱失改善。2/7、院内リハビリ受診。2/8で麻痺スコア36/40まで改善した。2/8の血液検査にてGOT 60 GPT 57と軽度肝機能障害を認めたが、顔面神経麻痺症状の改善あり、また全身状態良好であるため同日退院となった。

 

(患児・家族への指導、考察)顔面神経麻痺をきたす他の疾患は否定的であるため、Bell麻痺という診断に至った。母親及び患児本人には、Bell麻痺は原因不明の顔面神経麻痺をきたす疾患であり、多くは一側性であり、一般には予後良好で自然治癒率の高い疾患であることを説明した。加療により症状の改善が得られたが、小児のBell麻痺は稀に再発あるいは反復することがあることを説明した。ビタミンB12の内服治療は退院後1ヶ月程度は継続することとし、肝機能障害についても外来でフォローしていくことを説明し理解を得た。

 

 

※この症例の思い出

 

 

教科書でちらっと見たことがある程度で、
名前だけは知っている、ぐらいの疾患を、
まさか実際に経験するとは・・・

 

 

こうした疾患は原因がよくわかりませんので、
正直治療をしていても
「これで本当に改善していくんだろうか?」
と内心大きな不安を抱えながら診療していた
記憶があります。

 

 

幸い、この症例は症状は改善傾向を示してくれましたが、
難治性であった場合の対処や精査となると、
難しいでしょうね・・・

 

 

記事作成日:2011年2月26日

 

 

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