VPD、子供の予防接種、新生児の病気

熱性痙攣

患者年齢:1歳9カ月

 

 

家族歴、妊娠・分娩歴、既往歴:家族歴、妊娠・分娩歴には特記事項なし。発達は正常。2006年8月(1歳4ヶ月時)に熱性痙攣の既往あり。

 

 

診断名:熱性痙攣、Todd麻痺、急性咽頭炎 

 

 

症例要約

 

(主訴)発熱、痙攣、右不全麻痺

 

(現病歴) 2007年1月9日、昼頃より39度台の発熱あり。同日15時に近医受診し、内服薬処方され帰宅。同日18時40分右半身痙攣あり。痙攣後、右片麻痺(不全)あり、救急車で当院救急外来受診。18時50分痙攣は治まったが、右片麻痺が残存するため入院となった。

 

(入院時診察所見) 肺野清明、心雑音なし。腹部は平坦・軟。咽頭発赤あり。頚部リンパ節腫脹なし。項部硬直は認めなかったが、右側の上腕二等筋・三頭筋反射、膝外腱反射、アキレス腱反射は軽度亢進していた。

 

(検査結果)末梢血・生化学:WBC 5670 Hb 10.8 Plt 16.1万 CRP 2.96 TP 5.7 GOT 30 GPT 12 LDH 247 CPK 112 T-Bil 0.34 BUN 9.7 Cre 0.3 Na 132 K 3.8 Cl 100 Ca 4.7mEq/L BS 160。髄液検査:細胞数 2/3、蛋白 20mg/dl、糖 72mg/dl、髄液培養はno growth。咽頭培養:常在菌のみ。頭部CT:出血なし。脳浮腫は認めず。

 

(鑑別診断)脳炎、髄膜炎、てんかん

 

(経過)入院にあたって、熱性痙攣の可能性が高いが、髄膜炎や脳炎の可能性も否定できず、精査・加療が必要であることを両親に説明した。咽頭炎に対して、CTX 150mg/kg/d静注開始、痙攣に対しては、フェノバルビタール坐剤 75mg(1/10)、50mg(1/11)投与し、1月13日よりフェノバルビタール40mg/day内服開始。1月11日に一旦解熱、12日再度発熱あり、二峰性の発熱を示したが、13日には解熱した。入院後痙攣はなく、1月10日には麻痺は消失した。各種検査結果より、今回の発熱の原因は咽頭炎であり、その発熱に伴う痙攣であったこと、右片麻痺については痙攣後に起こる一過性の麻痺(Todd麻痺)であることを両親に説明し理解を得た。1月15日、全身状態良好にて退院となった。

 

(患児・家族への指導) 2回目の熱性痙攣であること、また麻痺を伴ったこともあり、てんかんなどの疾患の可能性もあるため、今後外来で脳波検査を予定していることを説明し理解を得た。フェノバルビタール内服は痙攣予防目的に継続することを説明し理解を得た。

 

 

※この症例の思い出

 

 

熱性痙攣は小児科医であれば一度は必ず経験する疾患であると
思います。

 

 

全く珍しい疾患ではないですし、ほとんどが5分前後の短時間で
痙攣はおさまります。

 

 

ゆえに、ある程度経験してしまうとこちら側としては、
「どうってことないな」という感覚を抱いてしまうのも
事実だとは思います。

 

 

しかし、親にしてみれば、わが子が眼球を上転させて、
四肢を硬直させている姿を目の前で見るのは、
恐ろしい体験だと思います。

 

 

親の気持ちを考える、
患者の立場を考える、
基本的なことを忘れてしまう、あるいはおざなりに
してしまうことのないよう、心がけようと思いました。

 

 

記事作成日:2011年2月27日

 

 

 

 

 

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